魂の骨格 「S.H.Figuarts 荼毘」原型師 長汐 響インタビュー
2025-06-12 11:00 更新

続々とラインアップが充実していくS.H.Figuarts『僕のヒーローアカデミア』シリーズ。
このたび、敵<ヴィラン>シリーズ第一弾の「荼毘」の原型製作に加わったGB2・長汐響氏によるインタビューを実施。これまで真骨彫製法などを手掛けられてきた長汐氏から見たS.H.Figuarts『ヒロアカ』シリーズのポイントや、「S.H.Figuarts 荼毘」の造形・可動・彩色のこだわりなどをたっぷり語っていただきました。
■最初の印象について
―製作に込められた想いや、苦労された点などについてお聞かせください。最初に荼毘の製作について聞いた時にどのような印象を受けられましたか?
長汐:企画担当の秋場さんと他の案件でご一緒した時に、アクションフィギュアがお好きで、真骨彫シリーズをたくさん買われているという話を聞いてました。そんな秋場さんが『僕のヒーローアカデミア』のアクションフィギュアを今度手がけると聞いて、とても気になっていたんですよね。以前担当されたデクのフィギュアを見てかなりびっくりしたんです。すごくよくできてるなって。表面的ではなく、深く真骨彫シリーズの考え方を見てくれていると感じてすごく嬉しかったです。股の可動にボールを入れているところとか。デザインを利用してカットラインを決めているところもすごいなって思いました。

企画担当:ありがとうございます。ユーザーとして遊ぶ時を想定して、「この技を出すならここはここまで動かしたい」等本当に細かい夢を叶えて下さった原型師様のおかげで、感謝の気持ちで一杯です…!
長汐:それもあると思うのですが、秋場さんが、どんなふうに作りたいか要望を出してくれたおかげだと思いますよ。膝の処理も上手いなと思いました。「荼毘」の製作について最初に依頼を受けた時は、すごく早いタイミングで敵<ヴィラン>を出していくんだな、と思いましたね。
企画担当:SHFヒロアカシリーズの構想段階では、当初から敵<ヴィラン>とヒーローの構図でブンドド遊びをしたい気持ちがありましたので、デクより続くヒーロー系と並行して早い段階からご依頼をさせていただきました。
■原型制作について
企画担当:ヒロアカシリーズ始動にあたって、敵<ヴィラン>の生物的な造形をお願いするのは、当初から長汐様と決めていていました。ですので、今回依頼をお受けいただけて大変嬉しかったです。
長汐:秋場さんがおっしゃったように、敵<ヴィラン>の造形は生物的というか、原作っぽい方がカッコよくできると思いました。“綺麗すぎない線”というか、ちょっと不安定な感じのある方が、ヒーロー側と差別化もできると。だから、原作っぽさをできるだけ落とし込むような造形を心がけたつもりです。
企画担当:最初に原型を見た時はカッコ良すぎて、社内中に見せて回りました(笑)。

長汐:製作にあたってのデジタル化は進んでいますが、やはり最初はアナログで作り出すようにはしていて、生々しさみたいなものが今回の荼毘の造形には映えるなという気がします。
企画担当:過去にご製作されていた「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーカブト ライダーフォーム」の時の、粘土造形がとても印象に残っていました。「荼毘」も同様の作り方でご製作いただいたら、めちゃめちゃカッコいいフィギュアになるんだろうな…と思っていたら、予想をさらに上回るカッコよさのものを上げていただき大変興奮しました!
長汐:そんな時から見ていただいてすごく嬉しいです。
―その他に造形面で意識いただいた点を教えて下さい。
長汐:やはり皮膚の表現をどうするかにはこだわりました。荼毘のアイデンティティーですので、どういった造形がいいのか熟考しましたね。
企画担当:口の奥行きもしっかりと作り込んでいただきました。2次元のアニメのキャラクターの造形を立体に落とし込んでいただくのが、とってもお上手だなって思っていて。。
長汐:アニメのキャラクターといえども、人体の造形に従って作れば、口の開き方も自然になるんですよね。アニメでも漫画でも、人体を描いている以上は骨格が存在します。
筋肉の付き方はこういうものだ、っていうのは絶対あると思うので。それをフィギュアなりに解釈して、造形に落とし込めばリアルにできると思っています。
企画担当:とても細かいところまで造形していただいたので、今までにないリアルな荼毘ができたと思います。いち作品ファンとして、とっても嬉しい気持ちです…!どこから見ても隙がないフィギュアになったと思っております。
長汐:自画自賛になりますが、めちゃめちゃいいですよね。
企画担当:はい!あまりにもかっこよすぎたので、いただいた時に社内でポージングをつけては写真をとって色んな角度から眺めてしまいました。
■可動仕込みについて
長汐:荼毘の衣装はカッコいいですが、可動の造形をするのは難しいんですよね。衣装が動きの邪魔になってしまいますから。
企画担当:そうですよね。でも、荼毘といえば肘を曲げた敵<ヴィラン>っぽいポージングの印象が強かったので、その辺りデザインを損なわない形で可動のご相談をさせていただきましたね。
長汐:このポージング(下記画像)のために、いつもより肘の可動部分を多くとっています。


企画担当:コートについては、フィギュア化にあたり、ひとつのパーツにしてしまうと可動を阻害してしまうので、なるべく目立たないところに切れ込みを入れていただきました。
長汐:腰のコートが破れているような衣装ですよね。お腹のパーツを直線で切ってしまうと、いかにも切りましたという感じになるので、シワや破れの造形を入れることで自然に見せるようにしました。

企画担当:元からあったディテールかのように自然に造形いただき、可動・造形共に素敵なフィギュアにしていただきました。
長汐:可動分割に関しては、自然な造形になるようにいつも気をつけています。それから、秋場さんのアイデアでローブがより動くようにカットしてもらいましたね。
企画担当:難しいご相談を叶えていただき本当にありがとうございます。いつも企画をする時は自分自身で遊ぶことを想定しているので、担当商品ではポージングの自由度とデザインを両立させたいと思っています。
長汐:自分自身で遊ぶのが一番ですよね。やっぱり好きが一番ですよね。
企画担当:そうですね!SHFヒロアカシリーズは『ヒロアカ』を好きな人だらけでやっているので、皆さんの愛を総力で込めて作れているなという気持ちです。
長汐:いやぁ、素晴らしい。
企画担当:長汐様の特にお気に入りのポージングはありますか。
長汐:作品を見ると、荼毘は体の内側から外側に腕や肩を振る技が多いので、それを再現してみました。肘アーマーが干渉してしまうのですが、干渉しにくい可動を仕込むことで調整しました。

▲お気に入りのポージングをしている長汐氏

▲お気に入りのポージングがこちら
―その他に可動で意識されたことはありましたか。
長汐:原作者の堀越耕平先生は、きっとアクションフィギュアがお好きで、フィギュア化を意識されていらっしゃるのではないかな、と感じていています。ここをこう作ってね、みたいな思いをなんとなく感じるんです。アニメ化を意識してる漫画家さんはたくさんいると思うんですけど、フィギュアになることを意識してくれている先生が居たら、それはすごい楽しいですよね。原作者との対話みたいな。原作に参加している気になるっていうんですかね。そういうところがすごい楽しいんですよね。
■彩色について
―彩色について苦労された点をお聞かせいただけますか。
長汐:アクションフィギュアは、やはり顔が大事ですよね。固定フィギュアの場合は顔は1つだけですが、アクションフィギュアはたくさんの顔が必要です。クオリティも全部高くないといけないじゃないですか(笑)。大変は大変なんですけど、やはり顔はこだわらないと。顔は一番先に目に入るところですし、似せるのは当然のことだと思うので、特に時間をかけて彩色するようにしています。
特に荼毘のフィギュアは白っぽいですが、敵役ではあまり見ない色なので難しいなと感じました。
企画担当:商品化にあたり色々制約がある中で、荼毘の絶妙な白色をうまく表現していただきました。
長汐:白色の扱いは結構こだわっています。目の彩色の表現も、線を簡略化しつつ原作っぽさを残すようにしました。髪の毛やブーツもちょうどいい色が出せたと思います。青い炎のエフェクトが綺麗に映えますね。
企画担当:特に荼毘の叫び笑顔の交換用表情パーツ(下記画像)が本当にカッコ良いのと色々な荼毘のアクションポーズに合うので、とっても気に入っております。
長汐:ちょっと狂気をはらんだような感じがありますよね。こういう顔はヒーローではできませんから。これも敵<ヴィラン>を作ることの面白さのひとつかなと思います。これからも他の敵<ヴィラン>で、今までに見たことがないようなフィギュアができるんじゃないのかなって思いますよね。

■最後に
企画担当:いつもS.H.Figuarsヒロアカシリーズの応援をありがとうございます!今回は大変お待たせしておりました、敵<ヴィラン>シリーズの第一弾となります!ヒロアカシリーズ当初より温めていたアイテムなので、是非ご予約いただきS.H.Figuarsの敵<ヴィラン>アクションを体感いただけますと幸いです!
長汐:今回の荼毘はS.H.Figuarts『ヒロアカ』初の敵<ヴィラン>です。敵<ヴィラン>がいるとやはり世界観が広がりますよ。皆様ぜひ、ご予約・ご購入よろしくお願いいたします。

>その他「S.H.Figurarts ヒロアカシリーズ」の情報はこちらから!
©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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